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▼黒獅子の木地制作

黒獅子の木地制作/





制作途中だった總宮型の獅子木地制作を再開した。

木地が乾燥の際に変形する場合があり、放置し乾燥を促す。案の定、歯の輪郭ラ

インが5mmずれ、きつくなった軸棒穴を修正し輪郭ラインを彫り直して整えた。

同時に同じ柳から彫り出した四頭の獅子木地だが、ほとんど変形しない木地もあ

り材の部位の性格も様々だ。この木地はとある神社の二作目の獅子に仕上がる予

定で、一作目より軽量化なるように依頼されている。大抵は神社総代の御大が関

わり獅子の重さについてのリクエストは無い事が多いが、実際に獅子を振る若い

衆が関わると細部まで検討の余地が入る。總宮型の黒獅子のデザインといっても

様々有る。獅子の作者によってこだわりや癖があり「高橋小兵衛風の裏の彫り込

み」とか「竹田吉四郎風の耳」、「梅津弥兵衛風の目」とかのオーダーが話に出

ると「おっ!この方は獅子頭をかなり勉強してる御仁だ」となる。最近、年配の方

よりネット情報に長けた比較的若い年代に多い。こちらのブログのレアな獅子の

情報源にもなっているのだろう。





獅子木地は一昨年末に清水町から出た柳で良い状態で、かなり乾燥が進んでいる。

軽量化の為、横に計量秤を置いて制作するが「獅子の内部の彫り込み」が重さを

左右するので重要だ。軸棒は重いが堅牢な樫材を使用し、耳や舌は軽い桐材で作り

FRP(強化プラスチック)で補強する。FRP補強は獅子の内外部の鼻や歯、破損し

やすい部分に施工し、さらにそのガラス繊維の上に薄い麻布を貼り付け覆う。FRP

補強工法のない時代は、せいぜい漆で麻布を着せる補強が主流だった。獅子頭に

FRP補強をすると200gから300gの加重で済み効果的と考えている。




これから仕上げる獅子頭にFRP補強の工程に入る。

かなりハードでタフな使用が予想される神社の獅子舞なので気を抜けない。一作目

の獅子は大雨の中でデビューし軸棒が水を吸って膨張し口の開閉に支障を来たした。

また、上の軸棒が折れ応急処置し取り替えた軸棒が再度折れるというトラブルもあり

自作の木工旋盤加工したイタヤカエデ材の使用を廃止し、樫材に変更した経験もある。

上下の歯を強烈に打ち合わせる「歯打ち」は總宮型の獅子舞にとって無くてはならない

所作だが大抵、破損箇所は上下の前歯である。やはりこの神社の獅子も上の前歯の下地

が破損し、FRP修理で初めて「カーボンファイバー」を使用した。


一晩に何回歯打ちをするかのデーターを一度でも調査する価値がある。

例えば歯打ちセンサーの装置を開発し獅子頭に取り付ける方法もあるだろう。

漆の下地の骨材にガラス繊維を混ぜて強度を増すような工夫も検討している。







また珍しいオーダーも依頼されている。本来は破損した舌の根元周辺を補強するための

棒状の補強で、總宮神社の明治江戸期の獅子の修復に使われている工法だ。注がれたお神

酒を流すドレイン穴を開けている。舌自体は後付けしたものでFRPで固定し念には念をい

れボルトでしっかり固定する。














2025/02/20 08:48 (C) 獅子宿燻亭10
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