▼佐藤耕雲の小獅子2020/04/04 09:01 (C) 獅子宿燻亭8
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独特なダイナミックな作風の南陽市法師柳出身の獅子彫り師 佐藤耕雲氏は昭和初期から戦後30年頃までに多数
獅子頭や神社彫刻を残している。生家近くの南陽市法師柳漆房の稲荷神社や上小松の皇大神社境内の護国神社の
拝殿彫刻を手掛けていた。高畠町阿久津八幡の置賜唯一の三重塔の獅子彫刻の一体を修復している。
その彼の作の小獅子を入手した。寸法は奥行き15cmと極小の獅子頭である。着色も朱と黒のコントラストを大
胆に駆使し、彼の獅子にしては大人しい方ではないだろうか? 特徴があり過ぎて一眼で作風が分かる程で、彼が
生み出す獅子頭の造形や着色の中にオドオドロしたタッチの、物の怪感を醸し出してくる様だ。荒々しいノミの
彫り痕を残し、ぶ厚く重い獅子頭で耳を大きく作り、その耳の先を反らせる傾向がある。
獅子頭は南陽市宮崎の宮崎観音、川西町下奥田の田護神社、同町黒川の稲荷神社、同町小松龍蔵の龍蔵神社、飯
豊町萩生中の目の八幡神社、同町松原の八幡神社、や個人向けに小品の獅子頭が見られる。飯豊町黒沢坪沼の塗
師 竹田義一氏宅を取材した際、飯豊の獅子の制作の際、塗りの依頼に訪れていた話を聞いている。
今回入手した獅子は、田護神社と黒川稲荷神社、宮崎観音の獅子とよく似ている。佐藤氏の作は記名は殆ど残っ
ていない。
黒川稲荷の獅子
田護神社の獅子
宮崎観音の獅子
宮内には彫り師と塗師の家系の 小関庄左衛門氏(明治期)、菊地熊吉氏(明治27年〜昭和49年)、池黒には宮大
工 高橋良吉は昭和46年同所稲荷神社の獅子頭を制作している。小関氏と菊地氏は熊野大社の本獅子や白木の三獅
子の型に多大な影響を受け、脳天には大きな円盤状(鏡)や牙や目の周辺の意匠を用いているが、佐藤氏は違った
美的感覚から影響を受けているように思える。置賜の獅子頭を語るに大切な昭和の作家である事は間違いない。