▼川原沢の大獅子の作者2020/04/03 08:50 (C) 獅子宿燻亭8
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大獅子の作者の答えはパソコンの資料に存在していた。
一ヶ月程前、長井市川原沢の工藤家所蔵の大獅子を拝見した。
最近縁あって購入されたばかりだが、作者は不明だった。大きさは奥行き70cmはあろうか?
総宮神社型だが、目が大きく目と目と間が狭い。総宮型の特徴である、その間にある三日月型の窪みがある鼻筋の
コブが狭く四角になっている事がねこの獅子の最大の特徴だ。その他、歯の丸みや頬と唇の硬さ等が目立っている。
最初に大獅子を制作した彫り師として長井市本町の鈴木政次氏を思い浮かべた。以前「本町の獅子頭展」を開催した
時、大獅子を数頭お借りし展示させて戴いた。早速、帰り足でお邪魔し工藤家の大獅子の写真を見てもらったが、作
風が異なっていた。そして浅立の菊地誠一氏の夫婦獅子を取材する事になったのである。しかし菊地氏や小形氏、高
橋氏の作風でも無く、不明のままだった。
山口地区広野の稲荷神社の獅子頭 長谷部健吉氏の作 昭和60年作
そして歴代の白鷹の彫り師を調べていると、白鷹町山口は広野の稲荷神社の総宮神社型の獅子が目に止まった。
「文化交流センターあゆーむ」で開催された獅子頭展で撮影した時の写真である。あちこち騒いで調べたが、意外にも
答えは自分のパソコンにあったのだ。
大獅子の目と目の間の鼻筋
山口佐野の長谷部氏の獅子の目と目の間の鼻筋
この獅子頭は長谷部健吉氏、雅号は岳翁。長井出身で山形市に移り獅子頭を制作している。長谷部氏の作は山口は佐野
の獅子頭の他、白鷹萩野小学校の子ども獅子、長井十日町の笹川家、獅子宿にも小品をコレクションしている。佐野の
獅子頭は奥行きが短く全体的に丸く、面長の工藤家の大獅子と同一の作者とは思えない。しかし、細部を見てみると長
谷部氏の作風である。佐野の稲荷神社の獅子頭は昭和60年の作とあり(あゆーむの獅子頭展資料より)工藤家の大獅子
は昭和の終わり頃に作られたと推測される。私のコレクションの獅子記名札には昭和63年と記されている。
獅子宿コレクション 長谷部氏 昭和63年の作
実は、ウル覚えなのだが平成5年頃に、山形市緑町の長谷部氏のお宅に取材に行っている。その時の資料が行方不明で
悔やまれる。その時には長谷部氏は亡くなっていて、そのご家族にお話を聞いている。現在、改めて長谷部氏について
調査中である。萩野小学校の長谷部氏の作の獅子頭は、公民館に移され保管され、修理を依頼された際、長谷部氏の獅
子は寄木造りで制作されていた。
工藤家の大獅子の作者は長谷部健吉氏と判明し作風が確定されたので、健吉氏作の獅子はこれから多数現れるだろう。