▼嘉六の獅子を再検分2019/01/05 14:58 (C) 獅子宿燻亭7
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年が明けたと思ったら、もう5日も経ってしまった。
雪模様の灰色の空だが、比較的雪の量は少ないので有り難い。
来月2日の飯豊町の獅子頭調査の報告の準備をしている。
店が休みだと一日中パソコンの前に詰めて集中出来るので効率が良い。
獅子頭の制作も休んで塗り立ての下塗りを乾燥を促進する事が出来る。
仕事始めは、それを水研ぎサンドペーパーで、ひたすら研ぎ出す作業
が待っている。だいぶ獅子彫りから遠ざかっているので、一頭彫り出
したくなってウズウズしてきた。
以前も報告した件だが、飯豊町椿の伊藤嘉六家は江戸期200年に渡り
肝煎(村長)を勤めた旧家で、その家に伝わる獅子頭が飯豊町に寄付
された。それは総宮系の黒獅子大小二頭で、その獅子頭大きい方の獅
子頭の写真を改めて見てみると発見があった。
眼球と目の輪郭の端に僅か赤い漆が塗られていたのである。
そこで目の縁が赤い状態を復元してみた。ちょっと見慣れないので違
和感は否めない。
これは成田や五十川の古い獅子頭に見られる様式で飯豊萩生の諏訪神
社系の扁平天眼の獅子の目の縁にもあるが眼球の縁にあるのは稀であ
る。目の金箔は擦れて飴色の地が現れているが、透けてその下に元々
の金箔が見えている。舌が欠損している部分に再修理して舌を取り付
けたが、再び取れて欠損してしまった様子が窺える。
顎も中央から割れ修理したが、再び破損してしまっている。幕穴も不
自然に伊藤彦右衛門の作の獅子頭に見られる貫通させず、V型に穴を
開ける手法である。特に稀な様式なのは総宮系の獅子頭の特徴である
額の白毫が無い。獅子頭内部、口の中も変わっていて目の下辺りから
黒に塗られている。何故ゆえに途中から黒にしたのか、未だ訳が分か
らない。そんな謎の獅子頭にまた謎を発見したが、見れば見るほどに
良い獅子頭で、歴代の総宮神社の獅子頭に勝るとも劣らない出来栄え
だ。