▼西大塚皇大神社の神楽獅子絵馬2018/10/09 16:57 (C) 獅子宿燻亭7
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置賜は稲刈りの真っ最中である。
先日の台風の余韻がまだ続いているのか気温が高く、田圃道を軽トラの窓を開けて走ると気持ちいい。
金木犀の香りが終わり、稲刈後特有のあの香りが大気に充満し、その後は籾殻を燃やす香りに変わる。秋
が深まり木枯らしが吹くと、遂にやって来るのは寒々とした雪の香りだ。
教育委員会に20日21日のシンポジウムの資料の原稿を提出してきた。七転八倒の資料作りだった。
伊佐沢から西大塚を通ると田圃の真ん中に、御神木に守られ神社がヒッソリと佇んでいるのが妙に気に
なっていた・・・獅子頭に呼ばれたのかもしれない。
先日、こちらにも獅子頭があると聞き、更に気になってしょうがない。
さらに神楽獅子の絵馬も複数あるという。
置賜には9枚の神楽獅子絵馬があり、米沢梓山の大社神社に一枚、玉庭の両皇大神社に4枚、そして西大塚
の皇大神社に4枚現存しているという。
数年前に詳しい方に写真を見せてもらったが、別段強く印象に残らなかった。
しかし、米沢や高畠、川西、小国、村山にも多数見られる神楽系の獅子頭に触発されたか、病状が悪化
したのか強く心惹かれるのである。
下手掛かりの調べをして神社近くの集落に訪れ、畑仕事の方に尋ねてみる。薬師堂の獅子頭を作っているので
伊佐沢の獅子彫りと申告し目的を話すと親切に対応していただいた。
早速、神社に案内していただき拝殿の絵馬を見せてもらった。四枚の神楽獅子絵馬の他、源平合戦の義経風の
絵馬と他一枚が飾られていた。
四枚の神楽獅子絵馬記名には明和5年(1768)、安永6年(1777)、文政10年(1827)年号不詳の一枚が
あった。絵馬の獅子は皆、二人立ちの赤獅子で伊勢系の神楽獅子である。
絵馬を拡大して分析してみると、さも楽しそうな人物たちが実に面白い表情を見せている。
囃子は三味線と太鼓で鉦や龍笛、締め太鼓もあるようだ。数種類の笠を被り、なんと腰に刀を差している。
年号不詳の絵馬の獅子持ちの人物の腰にも刀が描かれている。侍が神楽をしていたのだろうか?
もしくは、神楽の際に帯刀を許されたのだろうか? これは大発見(個人的に)である。
明和5年(1768)の絵馬には子供や女性、鶏四羽、神官、纏持ち、囃子にはササラ役がいて実にバラエティ
に富んでいる。獅子の幕にも色鮮やかな唐草や牡丹が染め抜かれ信州の油単風である。
しかし、案内していただいた方の祖先は福島のいわきから開拓に移住したらしい。
こちらの神社の例大祭は4月21日で以前は神社の敷地を一回りの獅子回しを行なっていた。現在は個人宅に
保管されて例祭で神社に飾るだけになってしまっている。
稲刈り作業が終盤を迎えたので、後日こちらの獅子頭を拝見出来るかもしれない。