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▼獅子彫り師のパリ独り旅

獅子彫り師のパリ独り旅/
調べてみると長井からパリまで片道9500km、往復だと19,000kmである。









そんな遠い彼方の邦から、先週の金曜日パリから五体満足に帰還し、シミジミ命拾いした感が身体か

ら滲み出ている。


そもそも、あんな金属の飛行機が、重い荷物を積んで何千キロも飛ぶ事自体納得出来ない。





この旅の一ヶ月前に久しぶりにジュリアンから一通のメールが届き、それはパリへの招待状だ


った。





この話は昨年、パリのケ・ブランリー美術館の学芸員であるジュリアン・ルソーが獅子宿に獅子頭を

買い付けにやって来た事から始まる。






埼玉県の久喜の獅子博物館に納めた私の制作した獅子頭をジュリアンが見初めた。

その前にフランス人の写真家シャルル・フレジェが2年間に5回日本を訪れ58ヶ所を取材し、日本

固有の神や鬼などに仮装した人々の姿を「YOKAI NO SHIMA(ヨウカイノシマ)という写真集に収

め出版した事が、ジュリアンが企画した「アジアの地獄と怨霊展」の始りである。

因に、この写真集には上山の「カセ鳥」も取材されている。








一寸した偶然が9500km彼方のフランスから奇跡的な縁で、長井の獅子頭がエッフェル塔の

隣の日本びいきの元シラク大統領発案の美術館に収蔵された由縁である。






旅が終わって感じる。

この独り旅は、私の一つの通過儀礼だった。

辛い山に登る修行を獅子舞を成し遂げる事と同じ、通過儀礼と相通じる。

言葉が通じない遠い国に訪れ、コミニケーションを何とかして成功させ無事帰国するという

のが使命だ。

それを成し遂げて一歩成長する事が出来るかもしれない。







パリに旅経つ前に、五十川の中野和子さん宅に訪れた。

彼女は知る人ぞ知る、古着のコレクターで、パリに三度訪れ美術館でコレクションの展示会を行って

いる。

前回パリに訪れた時、パリ在住20年の山形市出身ガラス工芸家の鈴木美智さんと一緒に展示会を行

っていた事もあり美智さんを紹介してもらった。



同時に中野さんとパリに同行した天童の広重美術館の土屋さんに連絡し、即、パリの美智さんに連絡

してくれた。


その事が、この度のパリの訪問に大きな影響を受けたのだ。


                                   つづく
2018/04/16 22:14 (C) 獅子宿燻亭7
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