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▼飯豊田林家の獅子頭

飯豊田林家の獅子頭/
ついに本日、飯豊町中の田林家所有の八幡神社の獅子頭を拝見した。

前回取材をお願いしお話だけは聞いたのだが、土蔵の奥にあるというので拝見出来なかった。

間違いなく本邦初公開である。

飯豊史話の資料によると「神輿・太鼓・御衣箱・毛槍の柄・警固棒・獅子幕(相当古い)・獅子頭・

竜頭一組・稽古用獅子頭二頭」が現在残っている・・とあったが本日拝見したのは三頭だった。

しかし土蔵の何処かに破損したバラバラの獅子頭があるが探してみないと分からないという。


「竜頭一組」と「稽古用獅子

頭二頭」という言い回しが微妙である。二つと解釈されると合計五頭あったということだろうか?

現在、三頭確認して後一頭が未確認。もう一頭も出てきそうだ。




座敷の卓袱台に三頭が置かれていた。

パッと目に入ってきたのは、右端の頭の高い総宮系の獅子頭。カッと目を見開いた獅子頭は

伊藤彦右衛門の作風である。細部を見ても間違いない。




五所神社の太田氏の作



中津川小屋から福島に移った太田康雄氏の獅子頭の表情と類似している。


年代からすると太田氏は彦右衛門の獅子をモデルにして自分の作風

にしているのだろうと感じた。

軸棒に記名らしい痕跡もあり、ますます彦右衛門に間違いない。









さて、中央と左端の獅子頭を見てみると、他にはない独特な様式が同じであるが微妙に異な

る。

中央の小振りの獅子頭の気になるパーツは、額の一本のシワだ。














更に口の中を見てみると、特異な塗り分けをしていて、以前取材した飯豊町椿の伊藤嘉六

の獅子頭の口の中と同じで、しかも百毫の代わりに三本のシワがありあった。


                   飯豊町椿 伊藤嘉六家の獅子頭



また歯の作り方に個性があり、長井市葉山神社にある総宮系の獅子頭に似ている。

初見では梅津弥兵衛と感じたが、納得出来ない違和感を感じる作風である。

ひょっとして長谷部吉之助では? と頭を過る。



最後に左端の獅子頭









左端の獅子はさらに特異である。

上下の歯に真鍮で打ち出した物を被せてある。置賜では稀だが、私のコレクションに

上下の歯に複数の金属板を重ねて固定し、歯打ちをするとガチャガチャ金属音を出す獅子があ

る。又眉間の見慣れない彫りが気になった。埋め込まれた耳も珍しい。

暫く、あーだこーだと講釈を吐きながら眺めていると似ている獅子頭が目に浮かんで来た。


西大塚薬師堂の竹田吉四郎の作の黒獅子であった。

佐藤耕雲の印象もあったが、彫りは緻密だった。

いずれの獅子頭についても、ご当主ご夫妻は全く詳細不明だった。

しかし手掛かりはまだある。

左端の獅子用に獅子箱があり、底に朽ちかけた「相当古い獅子幕」があるらしい。その獅子幕

に記名が染め抜かれている筈だ。

次の取材は、これから田植えの準備があるので田植え後にね・・と釘を刺されてしまった。

獅子頭取材には、探究心と忍耐が必要である。











2018/04/02 21:02 (C) 獅子宿燻亭7
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