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▼月刊zero☆23/6月号

月刊zero☆23/6月号/
ただいま発売中の「月刊zero☆23/6月号」

浅倉かおりのオシゴト日記も連載中です。
今月のテーマは「自由の女神に会ってきました」。


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こちらは5月号の書き下ろしです。

「大丈夫」で「心丈夫」に。

5月19日から1週間、
伊勢真一監督のドキュメンタリー映画
『大丈夫。ー小児科医・細谷亮太のコトバー』が上映される。
第85回2011年年度キネマ旬報ベスト・テンの
文化映画ベスト・テン第1位に選ばれた作品で、
『風のかたちー小児がんと仲間たちの10年ー』の姉妹編。

細谷医師は聖路加国際病院副院長として勤務し、
週末は実家である山形県河北町へ帰省し診療を行なう生活を、
なんと20年来続けておられるそうだ。

「大丈夫。」は細谷先生の口ぐせで、
チラシに書かれた監督のコメントを一部抜粋すると、
「些細なことにメゲて落ち込んでしまう癖のある私や、
 映画を観るひとりひとりへの、励ましのひと言です。
 それは、細谷先生のコトバを借りて、
 沢山の子どもたちの心が語りかけてくれている、
 お祈りなのかもしれません。」
と記されていた。

私の好きな言葉の1つも「心丈夫(こころじょうぶ)」。
人や物の励ましや癒しによって安心できる状態のことで、
「大丈夫」は、そこへ導いてくれる言霊だ。

この作品の上映活動にかかわっている方が、
「伊勢監督の映画は、眼差しがおだやかなんです」
と説明されていた。
ばんばんと肩や背中をたたいて励ますというより、
そっと手を添えて、もしくはちょっと離れたところから
微笑んでくれる感じなのかなと思う。

小児病棟は、私の人生においても深い意味がある場所だ。
数年前、ある食事会で何度も入院していた
私の子ども時代の話がでたとき、
参加者のひとりに医師がいて、
「浅倉さんが受けたオペね、
 あれは昔のやり方だったからエレガントじゃないんだよね」
と冗談まじりに言っていた(笑)。
エレガントな手術とそうじゃない手術があることも驚いたけど、
外科医は自分の手術に美学があるのだと知って興味深かった。

最初の入院からはすでに40年も経って、医学も進歩している。
今なら何度も手術をしたり、再発することもないのかもしれない。
だけれど人は皆その時代や場所を自分で選んで生まれて来るのだし、
当時治療にあたってくれた医師の方々にも、
こんな私を子どもとして引き受けてくれた両親にも感謝している。

5月19日(土)は、細谷亮太医師と伊勢真一監督による
トークタイムも予定されており、
夕方は『フォーラム山形』、夜は『サハトべに花ホール』での
上映後に開催予定だそうだ。


追記:今回の山形&河北の上映は大大大成功で、
観客動員が少ないといわれるドキュメンタリー映画にもかかわらず、
かつてないミラクルな動員数があったとか。

ぜひ全国各地で上映していただきたい作品です。
http://www.isefilm.com/


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