ヤマガタンver9 > うん、いい映画を観た。

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▼うん、いい映画を観た。

「うん、いい映画を観た」

 白鷹町の「あゆーむ」で、映画「わが青春つきるともー伊藤千代子の生涯」を見た。映画の広告に「戦争と無権利の時代、反戦と主権在民を掲げ闘いに斃れた若き女性の真実の物語」とあった。硬い話かなと思ったが2時間を超える大作にもかかわらず、時間の長さを感じさせない。引き込まれた。
 当時、侵略戦争への道をひた走った日本。国家権力が肥大化し、国民を守るための国家が国民を守らず、逆に国民をして天皇制国家を守るための道具、侵略の尖兵に駆り立てていく。そして敗戦。日本の戦没者数(兵隊、民間人)は約310万人。目をそらしてはならないもう一つの事実。日本はアジアを欧米列強から解放すると喧伝したが、実際は日本がアジアを抑圧し、あらゆる点で収奪したこと。戦場となったアジア全域では2000万人を超える軍民が犠牲となった。日本国民も日本軍国主義の被害者なのだが、同時にアジアを抑圧した加害者の一員でもあるという重く、つらい現実が残った。
 もちろん日本国内にも反対者はいた。それらの人たちは日本の良心でもあったろう。だが、国家権力はその数少ない勇気ある人たちを次々に捕まえ、拷問を加え、投獄して行った。それを可能としたのが治安維持法。
「他民族を抑圧する民族の人民もまた、決して自由ではない。」この格言通りの世界がそこにはあった。
 この映画は、高まる軍国主義の中で、勇気をもって反対した女性(たち)の物語だ。当時、女性には参政権は無く、「あゝ野麦峠」で知られた同じ長野県の、紡績工場の女性たちの労働争議などを挟みながら、立ち上がっていく女性たちの姿をも描いている。やがて治安維持法下、ことごとく弾圧され、圧殺され、日本は絶望的な戦争へと突入していく。そんな中、伊藤千代子も拷問の末、虐殺されていく。
この映画を観終わった後、感動と同時に、これは決して過去の話ではない、そんな思いが湧き上がってきた。
 今また、日本は膨大な軍事予算を計上し、自民党が掲げるGDPの2%を防衛費にすれば、世界第3位の軍事大国に。先制攻撃が出来る国。再び戦争出来る国への道を走り始めようとしている。良心が孤立させられ、平和を求める人たちが「伊藤千代子」になる前に、その道を止めなければならない。そんな気持ちにさせる映画だった。うん、いい映画を観た。
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