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▼憲政の常道

 2011年もあっという間に最初の1か月が過ぎようとしています。2010年を振り返ってみると、民主党政権が誕生して1年が過ぎ、民主党よ、お前もかという失望感が世の中に蔓延した一年だったと思います。民主党初代首相鳩山氏が、沖縄県からアメリカ軍基地を移転させようとして、ついぞできなかった事をはじめとして、マニフェストも実行できると分かったのはほとんどありません。民主党政権初の予算もふたを開けてみたら史上最高の国債発行高。依然として国の借金は過去最高を更新するばかり。外交に関しては、目も当てられない状況。お粗末すぎる、ひどすぎる。私はこのままでは日本は滅びるのではないかと、以前から院長私見で述べてきましたが、政権交代でその流れが加速したように思います。大きな声では言えませんが、実は私も改革を期待して民主党に投票した一人なので、責任はあるのです。
 中国は、以前より尖閣列島のみならず、沖縄も中国固有の領土であると主張していました。それは全然根拠がない話ではなく、明治になるまで、琉球王朝を中国と日本の両方が支配してきました。それを明治時代に日本の国力が増し、中国が弱小化した時に沖縄を一方的に日本が実効支配したという経緯があります。今年中国が日本を抜いてGDPが世界第2位になることが確実となり、立場は明治時代と完全に逆転しています。今度は中国が隙あらば沖縄を実効支配することを狙っているのは当然の事なのです。そんな時に鳩山前首相が、アメリカ軍基地を「最低でも沖縄以外。」なんて寝ぼけたことを言っていたもんだから、中国はとても喜んだに違いありません。民主党政権の外交音痴を見抜いた中国はだから、中国漁船事件の時もあんなに強硬な態度に出たし、ソビエトも同様にチャンスとばかりに大統領が戦後初めて北方領土を訪問し、「北方領土はソビエトの固有の領土である。」という宣言まで許してしまい、戦後70年かけてようやく北方領土の2島返還のところまでこぎつけた外交交渉を台無しにしてしまいました。また、鳩山前首相の国連でのCO2排出削減宣言は、できもしない約束、大ぼらとして世界の失笑を買いました。このように外交では、日本の権威を著しく貶めた1年でした。
 内政もしかりです。マニュフェストも権力欲しさのばらまき公約以外の何物でもなかった。払う金があるのに給食費を払わない親が急増して問題になっている時に子ども手当はばらまき以外の何物でもないし、高速道路無料化も田舎では大型トラック、営農用軽トラックまでが乗り入れる始末で、高速交通網の本来の意味が全く損なわれてしまっています。また、休みのたびの大渋滞、まさに目先の人気取りのためだけの愚策です。鳴り物入りで始めた事業仕分けもほとんど成果なし。ただのパフォーマンスに終わった。
 憲政の常道として公約が実行できなかった場合は、退陣して野に下り、捲土重来を期すべしです。政権にしがみついているのは実に醜い。われわれ日本人はいつまで政治家、官僚に騙されるのか。チュニジアに始まり、イスラム世界に飛び火している反政府デモのように日本も若者が立ち上がらないと、どんどん滅びていくだけではないのかと心配しているのは私だけではないと思います。年とった私にはそんな力はもうありませんが。

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